トピックス
いつも弊社HPをご覧いただきありがとうございます。
今回は“これだけは知っておきたい潤滑油の取り扱いについて”です。
潤滑油に関連する法令について
潤滑油は消防法と密接に関連しております。
実際、多くの潤滑油製品には引火点があり、消防法における危険物第4類に分類されます。
そして危険物第4類は更に以下の様に分類されています。
種類 |
品名 |
性状 |
指定数量 |
|
第4類
引火性 液体 |
特殊引火物 |
・発火点が100℃以下 ・引火点が−20℃以下で沸点が40℃以下 |
― |
50L |
第1石油類 |
引火点が 21℃未満のもの |
非水溶性 |
200L |
|
水溶性 |
400L |
|||
アルコール類 |
炭素の原子の数が一個から三個までの 飽和一価アルコール |
― |
400L |
|
第2石油類 |
引火点が21℃以上 70℃未満のもの |
非水溶性 |
1000L |
|
水溶性 |
2000L |
|||
第3石油類 |
引火点が70℃以上 200℃未満のもの |
非水溶性 |
2000L |
|
水溶性 |
4000L |
|||
第4石油類 |
引火点が200℃以上 250℃未満のもの |
― |
6000L |
|
動植物油類 |
・動物の脂肉等、植物の種子、果肉から 抽出したもの ・引火点が250℃未満のもの |
― |
10000L |
お使いになられている潤滑油の製品表示や引火点を参考にし、上記のどれに該当するか
把握することが求められます。
また引火点250℃以上の物は可燃性液体に該当し、危険物から外れますが
保管数量2,000L以上の場合は、市長村条例における指定可燃物としての規制を受けますので
ご注意ください。消防署への届出が必要となります。
潤滑油の保管について
上記で挙げた表には指定数量という言葉がありますが、これは危険物についてその危険性を勘案し
政令で定める数量を指しています。潤滑油の保管はこの指定数量を基準に方法が変わります。
指定数量以上の保管 |
政令で定められた技術基準を満たし、許可を 受けた施設で行います |
指定数量の1/5以上、指定数量未満 |
各市町村条例(火災予防条例)に則り 少量危険物貯蔵取扱届出書及び関係書類を 保管する場所を所轄する消防署に提出し 完成検査を受けなければなりません |
指定数量の1/5未満(倍数0.2未満) |
届出不要です |
また品質的な観点では、保管の際は水分の混入に留意する必要があります。
気温、湿度の上下や保管状況等により、容器にたまった雨水や湿った空気は容器中に吸い込まれます。
潤滑油中に水分がたまった場合、濁りや内容物の加水分解、分離などの劣化原因となります。
水分の混入を避けるためには、ドラム缶は横積みし、口金が油面より下になるように水平に置き
その他容器ではできるだけ温度や湿度の変化が少ない環境下に保管することが重要です。
潤滑油の運搬について
潤滑油の運搬も消防法に則って取り扱う必要があります、
運搬はより危険性が高いため“指定数量未満”も対象です。
以下は危険物の運搬に関する基本的な内容です。
・運搬容器が倒れたり、壊れないように積載する
・運搬容器は収納口を上に向ける
・運搬容器を積み重ねるときは高さ3m以下にする
・指定数量以上の危険物を運搬する場合、消火設備と車両の前後に標識を設置
・標識のサイズは30cm四方です
(タンクローリー等での移送の場合は、30~40cm四方)
・第1類や第2類など類の異なる危険物を同一車両で混載してはいけない場合があります
以下は混載可否の組み合わせです(×:混載不可 〇:混載可)
|
第1類 |
第2類 |
第3類 |
第4類 |
第5類 |
第6類 |
第1類 |
― |
× |
× |
× |
× |
〇 |
第2類 |
× |
― |
× |
〇 |
〇 |
× |
第3類 |
× |
× |
― |
〇 |
× |
× |
第4類 |
× |
〇 |
〇 |
― |
〇 |
× |
第5類 |
× |
〇 |
× |
〇 |
― |
× |
第6類 |
〇 |
× |
× |
× |
× |
― |
指定数量の10分の1以下の危険物はどの類も混載可です。
潤滑油の消火について
燃焼は一般的に可燃物、酸素供給源、点火源の3要素で成り立っておりますが、
万が一、潤滑油に火がついた場合においても、少なくとも1つの要素を取り除き消火する必要があります。
消火アプローチとしては以下4つがあります。
・除去:可燃物を取り除き消火
・窒息:酸素供給源を断ち消火
・冷却:点火源から熱を奪い消火
・抑制:酸素と熱の連鎖反応を止めて消火
潤滑油の消火については窒息と抑制が効果的です、また潤滑油には非水溶性と水溶性の両方が
ありますので、特性等を勘案し適切に消火しなければなりません。
(非水溶性に使用する消火剤)
・霧状強化液消火剤
・泡消火剤
・二酸化炭素
・ハロゲン化物
・粉末消火剤
※水や強化液消火剤の注水、棒状放射は火災を大きくしてしまう恐れがあるため危険です。
(水溶性に使用する消火剤)
・霧状強化液消火剤
・水溶性液体用泡消火剤
・二酸化炭素
・ハロゲン化物
・粉末消火剤
※水溶性液体の消火に、一般の泡消火剤を用いても泡が溶解され消えてしまいます。
今回はこちらで以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました!