自動車用潤滑油
自動車用潤滑油
について
エンジンオイルは未だ多くの自動車の動力源であるエンジンに欠かすことのできない存在です。また、エンジンを良い状態で長く使用するためにはエンジンオイルの定期的な交換が必要です。目安として走行距離5,000kmに1回、もしくは半年に1回の交換を推奨いたします。
エンジンオイルの選び方
一般的には、エンジンオイルの粘度が低いほど潤滑性は低く・燃費性能は良くなり、逆に粘度が高いほど潤滑性は高く・燃費性能は低下します。
エンジンの設計、運転条件、始動時の外気温等、様々な条件からエンジンオイルを選ぶことが重要です。弊社では旧車にも使用可能な(API SL規格相当の)エンジンオイルから車両に使用されるギヤー、トランスミッション用のオイル等も幅広く取り扱っております。
潤滑性 … エンジンの保護性能
エンジンオイルの役割について
エンジンオイルは大きく以下の役割を果たします。
潤滑作用 | 金属同士が接触する摩擦面に油膜を作る事で摩擦を減らし、エンジン各部の摩耗や焼き付きを防ぐ。 |
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清浄分散作用 | 循環することでカーボンや不純物を洗い流し、エンジン内部をきれいに保ちます。また取れた汚れを細かく分散しエンジン内部に堆積するのを防ぐ。 |
防錆作用 | エンジン各部の金属表面に薄い膜を張り、腐食や錆の発生を防ぎエンジンを守る。 |
冷却作用 | 高温のピストンやシリンダー等、エンジン内部の熱を吸収発散、冷却し、高温による焼き付きを防ぐ。 |
密封作用 | シリンダーとピストンのわずかな隙間を埋め、シリンダー内で起きる爆発により生まれるエネルギーが漏れるのを防ぐ。 |
SAE粘度分類
Society of Automotive Engineers(アメリカ自動車技術協会)の略称です。
SAE粘度はエンジンオイルの粘りを表しており、粘度を0W-20や5W-30等と英数字を使用して表記します。
WはWinterグレードと呼ばれ低温時の粘度を表します。数字が小さい程粘度が低く始動性の高いオイルになります。Wの後ろにある20や30は高温時の粘度を表し、数字が大きい程高温時の粘度が高く油膜が切れにくいです。
APIサービス規格
American Petroleum Institute(アメリカ石油協会)の略称です。
APIサービス規格は自動車用エンジンオイルの性能(品質)を表す規格であり、エンジンオイルの性能規格ではAPIサービス規格が広く使用されています。
ガソリンエンジンオイルのAPIサービス分類
Sを頭文字とし、SA、SB~SN、SPと順次改訂され現在はSPまで発行されています。時代に合わなくなった古い規格は廃止され、現行の規格はSJ~SPが使用されています。
分類 | 説明 |
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SJ | 2001年以前のガソリンエンジン用。 |
SL | 2004年以前のガソリンエンジン用。 |
SM | 耐酸化防止性能および耐デポジット性能を持つと共に、耐摩耗性能および耐低温性能がより優れたエンジンオイル。 |
SN | SM規格よりも、省燃費性能、オイル耐久性、触媒システム保護性能の改善が求められる。燃料消費量、排ガスシステム、ターボーチャージャー保全、E85(エタノール85%含有の燃料)に対するエンジンの保全を考慮している。 |
SP | SN規格よりも、省燃費性能、オイル耐久性、触媒システム保護性能の改善が求められる。LSPI防止性、チェーン摩耗防止性が必要。 |
ディーゼルエンジンオイルのAPIサービス分類
Cを頭文字とし、CA、CB~CJ-4、CK-4と順次改訂され、現在はCK-4およびFA-4まで発行されています。時代に合わなくなった古い規格は廃止され、現行の規格はCH-4~CK-4およびFA-4が使用されています。
分類 | 説明 |
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CH-4 | 高速、4ストロークディーゼルエンジンに対する1998年ディーゼル排出ガス規制への対応のために導入、硫黄分0.5%以下の燃料用。 |
CI-4 | 高速、4ストロークディーゼルエンジンに対する2004年ディーゼル排出ガス規制への対応のために導入、排ガス再循環システム(EGR)が使用されるエンジン耐久性維持のためのエンジンオイル。 |
CJ-4 | 高速、4ストロークディーゼルエンジンに対する2007年オンハイウェイ排出ガス規制に対応。硫黄分500ppm(0.05%)以下の燃料用、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)やその他の後処理システムが使用されている排出ガスコントロールシステムの耐久性維持に効果的。 |
CK-4 | 2017年モデルイヤーオンハイウェイおよびTier4オフロード排気規制に適合する高速4サイクルディーゼルエンジン用。 |
FA-4 | 2017年モデルイヤー温室効果ガス排出規制に適合する高速4サイクルディーゼルエンジン用(CK-4およびそれ以前のサービスカテゴリーとの互換性は有しない) |
ILSAC規格
International Lubricant Standardization and Approval Committee (国際潤滑油標準化承認委員会)の略称です。
ILSAC規格は米国自動車工業会と日本自動車工業会が共同で制定するエンジンオイルの規格です。このエンジンオイルの規格は自動車に関する環境対策への対応を主眼としており、前述のAPI規格を基として省燃費性能を加えております。
ILSAC規格とAPI規格の関係性
ILSAC規格 | API規格 | 説明 |
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GF-5 | SN | 2021年5月までGF-5規格は有効(1年の猶予期間含む)。 |
GF-6 | SP | 2020年5月よりGF-6規格は有効。 |
JASO規格について
Japanese Automotive Standards Organizationの略称です。
JSAE(日本自動車技術会)が団体規格として、自動車の装置、部品、潤滑油等に関して定めた規格を指します。
ディーゼルエンジンオイルのJASOサービス分類
分類 | 説明 |
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DH-1 | EGR対応。動弁摩耗防止性強化。 |
DL-0 | API CF-4に替わる規格。 |
DH-2 | DPFや触媒等後処理装置を装着したエンジン用(トラック・バス用)。 |
DH-2F | DH-2に省燃費性能を付与。 |
DL-1 | DPFや触媒等後処理装置を装着したエンジン用(乗用車用)。 |