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金属切削油について
いつも弊社HPをご覧いただきありがとうございます。
本日は金属切削油の基礎的な内容に関する記事です。
金属切削油は主に切削箇所に使用される潤滑油となっています。
切削加工とは工具と工作機械を用いて金属等の材料を削り取り、必要な形状や寸法に仕上げる
加工法のことを指し、ドリルを用いた穴あけや旋盤による旋削加工に代表されます。
金属切削油の働き
切削の過程で生じる摩擦・摩耗や発熱は、切削工具や工作物に大きな負担を与え、加工精度を
低下させる原因となります。
こうした問題を解決するために金属切削油には様々な性能(働き)が求められます。
潤滑性 | 摩擦を減らし、工具摩耗や切削抵抗を低減 |
冷却性 |
工具の温度を下げて、工具摩耗を低減 工作物の熱膨張を抑制し、良好な加工精度を維持 |
浸透性 | 切削工具の切削点近傍に、瞬時に切削油剤を到達させる |
抗溶着性 | 構成刃先の発生を抑制 |
洗浄性 | 切りくずや汚れを洗い流します |
防錆性 | 工作物の切削面を保護し、錆の発生を抑制 |
結果、切削油を使用することで寸法精度、仕上げ面、工具寿命、作業効率等の向上が見込めます!
金属切削油の代表的な構成成分
成分 |
働き |
ベースオイル |
金属切削油の基本的な性能を支える |
油性剤 |
摩擦面に油膜を形成し、金属同士の接触を防ぐ |
極圧剤 |
高温高圧条件下で摩擦面に潤滑膜を形成し、摩擦・摩耗や 焼きつきを防ぐ |
金属腐食防止剤 |
金属の腐食による変色を防止する |
酸化防止剤 |
酸化劣化を防止する |
界面活性剤 |
(水溶性切削油のみ) 水になじみやすい「親水性」と油になじみやすい「親油性」の2つの部分を持ち、 水と油を混ぜ合わせる「可溶化」や汚れを落とす「洗浄」の働きをする。 |
防腐剤 |
(水溶性切削油のみ) 微生物由来の腐敗臭や配管詰まりを防ぐ。 |
防錆剤 |
(水溶性切削油のみ) 加工材料や機械をサビから守る。 |
極圧剤にはリン、硫黄、塩素などの種類がありますが、
塩素系極圧剤は発がん性物質であることや、焼却処分の際にダイオキシンが生成されることから、
人や環境に対する影響が懸念されております。また加工時の煙中に含まれる塩素ガスは加工材や
設備に錆をもたらす原因となることから、他添加剤への置換が進んでいます。
また活性タイプの硫黄系極圧剤は加工性が高くなりますが、銅及び銅合金を変色させる作用を
持っていますので、当極圧剤を含む切削油を使用する際は材質の確認が必須となります。
金属切削油の種類
不水溶性切削油
N1種(1~4号) 油性形 |
鉱油及び/又は脂肪油からなり、極圧添加剤を含まないもの 【主な用途(目安):非鉄金属や鋳鉄の軽切削加工】 |
N2種(1~4号) 不活性極圧形油性型 |
鉱油及び/又は脂肪油からなり、極圧添加剤を含むもので、かつ、 銅板腐食が150 ℃で1以下のもの 【主な用途(目安):鋼や合金鋼の一般切削加工】 |
N3種(1~8号) 不活性極圧形油性型 |
鉱油及び/又は脂肪油からなり、硫黄系極圧添加剤を含むもので、 かつ、銅板腐食が100 ℃で2以下、及び150 ℃で2以上のもの 【主な用途(目安):鋼や合金鋼の一般切削加工】 |
N4種(1~8号) 活性極圧形油性型 |
鉱油及び/又は脂肪油からなり、硫黄系極圧添加剤を含むもので、 かつ、銅板腐食が100 ℃で3以上のもの 【主な用途(目安):難削材や仕上げ面精度の高い切削加工】 |
各号については脂肪油分、硫黄分、引火点等から分類されています
水溶性切削油
A1種(1~2号) エマルジョン |
水に溶けない成分(鉱油,脂肪油など)、界面活性剤などからなり、 水に加えて希釈すると外観が乳白色になるもの 【主な用途(目安):非鉄~SUSの切削で潤滑性が必要な切削加工】 |
A2種(1~2号) ソリュブル |
水に溶ける成分(界面活性剤など)単独、又は水に溶ける成分及び 水に溶けない成分(鉱油,脂肪油など)からなり、水に加えて希釈すると 外観が半透明又は透明になるもの 【主な用途(目安):非鉄~SUSの切削で一般的な加工、研削加工】 |
A3種(1~2号) ソリューション |
水に溶ける成分からなり、水に加えて希釈すると外観が透明に なるもの 【主な用途(目安):研削加工、軽切削加工】 |
水溶性切削油では全種の2号がアルミや銅などの非鉄金属に対応
上記の様に金属切削油は様々な種類がありますが、当切削油の選定においては材料や加工条件、
引火の危険性などを鑑みて選択していくことが必要になります。
今回はこちらで以上になります、最後までご覧いただきありがとうございました!