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オイルと添加剤の働きについて
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さて今回はオイルと添加剤の働きについての記事になります。
~なぜヤモリは壁に貼り付けるのか~
話はかなり変わりますが、ヤモリは一体どうやって壁についているかご存じでしょうか?
ヤモリには蜘蛛のような糸も、カタツムリのような粘液も、カエルのような吸盤もありません。
実は足の裏にナノメートルサイズのとても細かな毛が生えていて、壁との間で
ファンデルワールス力(りょく)
という原子や分子の間に働く引力によって垂直の壁に接着剤のように貼りつくことが
でき、またテープのように簡単にはがすことができることで歩行が可能となっていると考えられています。
~オイルの働き~
実はこのファンデルワールス力は潤滑油の世界でも大切な働きをしています。
オイルが付着した金属においては、ファンデルワールス力によってオイルが金属表面に吸着することで、
金属同士の接触を防いで摩耗や焼き付きを防ぎ、表面を覆って金属をさびや腐食から守ってくれます。
この吸着状態は物理吸着と呼ばれ、オイルの主成分となる潤滑基油と金属の間で広く働いている
作用です。オイルの基本的な性能を実現してくれるファンデルワールス力ですが、残念ながら
吸着力はそれほど強くなく温度が上がったり力が加わったりするとせっかくの吸着が剥がれてしまいます。
これでは、まだまだ厳しい潤滑条件や防錆条件を満たしてくれません。
(物理吸着のイメージ)
~添加剤の働き~
添加剤はオイルに配合され、その種類により求められる性能を発揮します。
例えば油性剤は一般的に摩擦低減効果を発揮し、また防錆剤は水や腐食性物質を遮断し防錆を行います。
これらの添加剤は一般的に添加剤成分と金属が化学結合して接着する化学吸着と
呼ばれる方法で吸着されており、吸着力は物理吸着の5~10倍以上と強いことが特長です。
(化学吸着のイメージ)
また、極圧剤は、高温下で金属と化学反応を起こして、非常に強い化学反応膜を作ることで、
油性剤でカバーできない高荷重域での摩擦・摩耗防止効果を発揮します。
(化学反応膜)
オイルや添加剤のもつ性能は様々な場面で活用されており、うまく組み合わせることで、
潤滑油においては広い温度や摩擦領域をカバーし、防錆油においては、強固な皮膜を作り
長期間の防錆を実現することができます。
今回はこちらで以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました!